小泉清亮 〜Dear Dream〜

dear dream

幻の作品  文:ebi

何を隠そうこの作品、所有しているのは僕だ。
だから幻でも何でもない。現存している。今でもちゃんと僕の家に飾られている。 何処にも発表されていない、という意味で"幻"なのである。

もう20数年も前の話だ。
スペイン、ポルトガル、モロッコと旅を続けた彼は、日本に帰る前にニューヨークにいた僕に会いにやってきた。 彼は一ヶ月ほど僕のアパートに滞在し、その間に僕の部屋でこの絵を描き上げた。
絵が完成に近づいたある日、彼は僕にこの絵の感想を求めた。
僕はじっとその絵を見つめてみた。
しばらくの間見つめていると、リズムのようなものがその絵の中から聞こえてくる気がした。
誰かが遠くで太鼓をたたいている。それは僕が聞きなれたロックやジャズ、ブルースといった音楽のリズムではなく、どこか遠くの、僕の知らない国の、とても古い時代のリズムのようだった。

「なんだかアフリカの音楽が聞こえてくる。」僕は彼にそう答えた。

彼が僕の答えに満足してくれたのかどうかはわからない。
だが帰国前日彼は完成したこの絵を僕にプレゼントしてくれた。
絵の裏側には 〜Dear Dream〜 そう記されていた。

セントラルパークにて

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